気ままに本巡り① 毛布お化けと金曜日の階段
どうも。
Amazonで本を探していたら、名の知れた作者名と高い評価に惹かれて購入。仕事の休憩時間を使ってゆっくり読みました。
読書にかかった時間は大体1日30分×6日なので、ざっと3時間ほど。
けっこうかかってますな(´・ω・)
毛布おばけと金曜日の階段 (電撃文庫) | 橋本 紡, ヤスダ スズヒト |本 | 通販 | Amazon
作品名:毛布お化けと金曜日の階段
著者名:橋本紡
イラスト:ヤスダスズヒト
発売日:2002年12月25日
あらすじ
お姉ちゃんは毎週金曜日、階段の踊り場で“毛布おばけ”になる―。あたしとお姉ちゃんと、お姉ちゃんの彼氏の和人と、3人で過ごすこの金曜日は、あたしが“家族”という言葉を実感できる瞬間であった。父と母を失い、姉妹だけになってしまってから、家族という言葉は意味をなくした。でも、金曜日の階段は、あたしにとって至福の場所なのである―。高校生・未明の周りに起こる様々な出来事を綴ったハートウォーミング・ストーリー。
いつもと変わらない日常なのに、3人の世界はどこか壊れていて、その違和感を抱えたまま日々を送っている。
彼らは作中でこうなってしまった現状を解決しようともしないし、何か自分から行動を起こそうとすることもない。ただただ、己の青春を、いつも通りに過ごしているだけである。
背景は非常に暗いし、重い。だけど、そんな重苦しい雰囲気などは一切なく、ほんわかした文体で書かれる世界観は非常に明るく、ふわふわしている、といった印象。
Amazonレビューの引用の中に、
「救いようのないような、それでいて心地いいような金曜日の階段。人生のどん底はいつまでも続かないというような話」
とありますが、本当に一言で表すならそんな感じのお話です。
私ではいい感想が思い浮かばなかった(;´・ω・)
個人的に好きな箇所
- 大人の人は高校生のあたしたちを子ども扱いする。尊重してくれる人もいるけど、それはあくまでも目下の者に対する気遣いから、あえて尊重しているのだ。本当に、普通に、対等に話してくれる大人など滅多にいない。(みちのながてをくりたたね)
- かっこつけても。お洒落をしても。理屈をぶっても。結局のところ、人間は人間でしかない。その行動は欲望や感情に支配されている。喉が渇けば、泥水だって飲んでしまうのだ。(みちのながてをくりたたね)
- そういう金子さんの口調は、説教じみておらず、暑くも冷たくもなく、ただひたすら普通だった。まるで天気の話でもしてるかのような調子だった。そして、それゆえに、やたらとリアルだった。(花火の下、きみの微笑みを)
- 車両の中は暖かい春の風に満たされ、ぱんぱんになった。さくらの前髪が風に揺れ、丸いおでこが見えた。射し込む風がチラチラとそのおでこで揺れていた。今でも、あの光の眩しさを、あの風の暖かさを、はっきりと覚えている。(花火の下、きみの微笑みを)
- 正しくあることは難しい。正しさを維持することは、もっと難しい。ならば――。少しの歪みでバランスをとっているほうが、ずっと楽だし、安心できる。(缶コーヒーの行方)
知らなかった語彙
- 諦観(ていかん)…本質をはっきりと見極めること。諦め、悟って超然とすること。
- 袖振り合うも他生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)…道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。袖すり合うも多生の縁。
- 門扉(もんぴ)…門の扉